ラインから見直そう!(AⅠ編)

「AyⅠ:足の陽明胃経」

「AxⅠ:足の太陰脾経」

AⅠが関係する主な症状

眼症状、頬、顎の痛み、第二・第三枝の三叉神経痛、鼻づまり、のどの痛み、気管の症状、胸の症状、猫背、

胃・腸など消化器の症状、股関節・鼠径部の症状、腸腰筋の短縮、大腿四頭筋痛、

オスグッド、膝OAや成長痛など膝の症状、足首の症状など、

ラインとエリア

AyⅠの走行と担当エリア

AyⅠは、顔の側面と目下正面を下りるラインが下顎で交わり頸部前側面を下り鎖骨付近を横行してから胸部へ下行し下部胸椎レベルから正中に近づき下腹部へ下りる。鼠径部で横行し大腿正面を下行する。大腿直筋の外縁を下行し、膝蓋骨の外側を通って足関節正面を通過し第2中足骨と第3中足骨の間に伸びている。

担当エリアは三叉神経の第二枝、第三枝の支配域と大きく重なり、頸部の正面を下りて胸部に至る。体幹の前面の正中に近いエリアはAxⅢの支配域であり、AyⅠの担当エリアは正面でも外側よりになる。鼠径部ではAyⅠ、AxⅠ、AxⅡが隣接し合っており担当エリアが重なっていて明確に区別するのは難しい。下肢では正面が主にAyⅠの担当エリアとなる。

AxⅠの走行と担当エリア

AxⅠは、体幹の腋下側胸部からAyⅠより外側を走行し、鼠径部でAyⅠと交差し大腿直筋の内側を下行する。基本的には表面はAyⅡの担当エリアであり、その下をAxⅠが走行している。下腿では脛骨の内縁に沿い下行して三陰交でAxⅡと入れ替わり側部内側側面を走行する。

体幹では陰経であるAxⅠの担当エリアは表面にはなく深部を担当している。下肢においては狭い陰経面の前方を担当している。

治療対象の見極め(診断)の初歩は、訴える症状部位をラインとレベルで特定することです。症状がある部位に影響(担当)するラインを判定します。次にその部位のレベル分類をします。つまり患部を座標のようにラインとレベルで置き換えて遠絡療法の初歩の診断になります。

ラインと治療点

施術の際の治療点とは、疼痛ラインへアクセスする為の法則を接経と呼んでいます。治療の目的応じた接経を選択するとその組み立てに準じて施術を行うラインが決まります。治療点を取るラインを治療ラインと呼んでいます。

治療点は主に四肢で取ります。厳密なラインの走行を把握するのは四肢だけ十分です。治療点を取る為に、筋と骨との位置関係でラインの走行および治療点の位置を把握していきましょう。

大腿部では、
AyⅠは大腿直筋の外側縁を走行
AxⅠは大腿直筋の内側縁を走行

下腿部では、
AyⅠは前脛骨筋に沿って走行
AxⅠは脛骨の内縁に沿って走行

足部では、
AyⅠは第二中足骨と第三中足骨の間
AxⅠは第一中足骨の内側側面

問1. 治療ラインの左右選択

AyⅠを治療する時に連接でTy1を用いますが、疼痛ラインAyⅠに対して同側対側どちらのTyⅠを用いればよいでしょうか?

問2. 治療点の特性

膝の内側、やや前方の症状(AxⅠ)を治療する時に連接で同側のTyⅢを用いて治療することがでますが、同時に膝裏(AyⅢ)の治療も行う事ができます。なぜでしょうか?

問3. 治療ラインの左右の選択 

AyⅠにもAxⅠにも相輔する際は、AxⅡを用います。同側と対側どちらのAxⅡを用いればよいでしょうか?

問4. 中枢レベル

AyⅠの股・膝・足の関節周辺の症状は、L4.5の中枢レベルと関係しますが、大腿・下腿は胸椎レベルの中枢と関係します。大腿・下腿それぞれの目安となるレベルはどこでしょうか?

問5. 中枢レベル

AxⅠの膝の症状はどの中枢レベルと関係があるでしょうか?

問6. 五行図

体幹・下肢は、Aのラインのみとなり五行の末尾のラインはAⅠとなります。末尾のラインは基本的に蓄積症状の病態が多く現れます。症状が変化しやすい胃付近の症状はどこの蓄積病態の影響を受けていると考えられるでしょうか?

(※つまり、治療すべきレベルは訴える症状の部位ではなく、その背景となっている病態の根本がターゲット)

問7. 臨床問題

腰椎周辺の病態で下肢に神経症状が出る場合、初めにAyⅡ次に波及するラインがAyⅢとAyⅠどちらかに広がる2つのケースがあります。AyⅢへ波及するケースとAyⅠに波及するケースでどのような違いがあるでしょうか?

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